眠れる森の美女のバリエーションやあらすじを解説|ノアバレエ教室

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-はじめに


チャイコフスキー三大バレエ作品の一つ、眠れる森の美女。
バレエをやっていない方も聞いたことはあるのではないでしょうか。
ディズニー映画や絵本でもおなじみの童話にもとづく大作バレエです。
ここでは眠れる森の美女の作品についてご紹介していきます。


■ 眠れる森の美女のあらすじ


【プロローグ】
フロレスタン24世の娘、オーロラ姫の誕生により、盛大な洗礼の式典が行われている。6人の妖精たちの一行が招待を受けて、彼女の名付け親となるべくやってくる。夾竹桃の精、三色ヒルガオの精、パンくずの精、歌うカナリアの精、激しさの精、そして一番偉い善の精、リラの精である。まず国王が妖精たちに贈り物をし、妖精たちがそれぞれオーロラ姫に授け物をする(正直さ、優雅さ、繁栄、美声、および寛大さなどを授けた、とする改訂版もある)。
その時、邪悪な妖精カラボスがやってくる。カラボスは自分が洗礼に招待されなかったことに怒り狂い、オーロラ姫に次のような呪いをかける。
「オーロラ姫は、20回目(改訂版では16回目)の誕生日に彼女の指を刺して、死ぬでしょう。」
しかし幸運にも、リラの精だけはまだ姫に何も授けていなかったため、次のように宣言する。
「カラボスの呪いの力は強すぎて、完全に取り払うことはできません。したがって姫は指を刺すでしょうが、死ぬことはありません。100年間の眠りについたあと、いつか王子様がやってきて、彼の口づけによって目を覚ますでしょう。」


第1幕
オーロラ姫はすくすくと成長し、20歳(16歳)の誕生日を迎えた。その誕生日に編み物をしている娘たちを見て国王は激怒する。オーロラ姫を守るために編み物・縫い物は禁止していたためだ。しかしめでたい祝いの日なので国王は怒りを鎮めて祝宴を始める。
オーロラ姫には4人の求婚者がおり、彼らがバラを姫に手渡したそのすぐ後、姫は何者かからつむを贈られる。彼女は尖ったものに気をつけるようにという両親の忠告にも関わらず、それを持ったまま楽しそうに踊る。そして誤って指を刺してしまう。
カラボスは、すぐに邪悪な本性を明かしながら、勝ち誇り、驚く賓客の前で姿を消す。同時にリラの精が約束通りやってきて、王と王妃、そして賓客たちに、オーロラ姫は死ぬのではなく眠りにつくのだということを思い出させる。リラの精は城にいた全員に眠りの魔法をかける。オーロラ姫が目覚めるその時に、目を覚ますように、と。


第2幕
それから100年が経った頃、デジレ王子が一行を率いて狩りを行っていた。王子は狩りが楽しくなかったため、1人になりたいと申し出て、一行から離れる。そこに突然リラの精が現れて、オーロラ姫の幻を見せられた王子はその美しさの虜となる。王子はリラの精にオーロラ姫の元へ連れて行くよう頼み込み、今や太いツルが伸び放題でからみついている城にたどり着く。リラの精はオーロラ姫の名づけ親だが、デジレ王子の名付け親でもあった。
王子は城の中に入り、中で眠っているオーロラ姫を発見し、王子のキスによってオーロラ姫は目を覚ます(原作は非暴力的で愛すること・考えることを重視するが、改訂版では邪悪なカラボスを打ち負かす、といった展開もある)。彼女が目を覚ましたため、城にいた全員が目を覚ます。王子は姫への愛を告白し、結婚を申し込む。


第3幕
プティパ版『眠れる森の美女』、サンクトペテルブルク、1890年。第3幕の衣装をつけたオーロラ姫(カルロッタ・ブリアンツァ)とデジレ王子(パヴェル・ゲルト)
婚礼の仕度は整った。祝祭の日にさまざまな妖精たちが招かれている。結婚を祝福するのは、金の精、銀の精、サファイアの精、ダイヤモンドの精である。リラの精もカラボスも出席している。「長靴をはいた猫」や「白い猫(英語版)」などのおとぎ話の主人公たちも来賓として居合わせている。
華麗なダンスが次々に踊られる。4人の(宝石・貴金属の)妖精のパ・ド・カトル、2匹の猫のダンス、青い鳥とフロリナ王女(この「青い鳥」は日本で知名度の高いメーテルリンクのものではなく別の作品en:The_Blue_Bird_(fairy_tale))のパ・ド・ドゥ、赤ずきんちゃんとおおかみの踊り、シンデレラ姫とフォルチュネ王子のダンスが披露され、(一般的には省略されるサラバンドの後を受けて、)オーロラ姫とデジレ王子のパ・ド・ドゥが続き、最後にマズルカで締め括られる。オーロラ姫と王子は結婚し、(リラの精が2人を祝福する、という改訂版もあるが、原作では)妖精たちを讃えるアポテオーズの中で人々は妖精たちに感謝を表し、リラの精やカラボスなどの妖精たちが人々を見守るうちにバレエは終わる。


■ 眠れる森の美女の登場人物


オーロラ姫/Princess Aurora
デジレ王子/Prince Desire
フロレスタン王/King Florestan
王妃/The Queen
邪悪の精カラボス/Carabosse
リラの精の長/The Lilac Fairy
カンタルビュット/式典長
ガリフロン/デジレ王子の家庭教師
優美の精,無邪気さの精,食べ物の精,歌うカナリアの精(呑気の精),
激しさの精(健康の精),リラの精(知恵の精)
花婿候補の4人の王子達
村の若者達,子供達,召使い達,貴婦人達
金の精,銀の精,ダイヤモンドの精,サファイアの精
青い鳥とフロリネ姫
赤頭巾と狼
シンデレラ姫とフォーチュン王子
親指小僧とその兄弟達と人食い鬼
長靴をはいた猫と白猫


■ 眠れる森の美女のバリエーションと難易度


(1) 第1幕:リラの精のバリエーション


テンポはゆったりしているものの、テクニックがないと難しいパが多めです。ピルエットやピケターンなど回転ものに自信がある方はチャレンジしてみるといいかもしれません。こういうテンポがゆっくりの踊りは表現力の勉強にもなります。


(2) 第1幕:オーロラ姫のバリエーション


全体的に曲調がゆっくりで、それに合わせたステップと表現力が少し難しいです。
また、中盤にピルエットを4回決める振り付けが出てきます。
全てダブルだったり、最初の3回がダブルで最後の1回がトリプルになったりと、様々なパターンがあります。


(3) 第2幕:オーロラ姫のバリエーション


オーロラ姫のバリエーションといえば第1幕と第3幕です。
2幕は幻想的な世界で妖精たちと共に踊るオーロラ姫。難易度的には比較的優しめです。


(4) 第3幕:宝石のバリエーション


サファイア
眠れる森の美女の3幕に出てくる宝石の踊りのひとつ。一般的にはダイヤモンドとセットになっています。(金の精・銀の精と呼ばれることも)なかには、ダイヤモンドはあるのにサファイアはなかったりすることもあります。
サファイアの踊りは全体的にグランジュッテが多めなので、ジャンプが得意な人におすすめです。

ダイヤモンド
眠れる森の美女の3幕に出てくる宝石の踊りのひとつ。テンポがかなり早いのでアレグロが得意な人におすすめです。とても可愛らしくキュートな踊りです。


(5) 第3幕:フロリナ王女のバリエーション


エシャッペやパッセなど、初歩的なステップが多いので難易度は低めです。
しかし、初歩的なステップだからこそ美しく軽やかに表現しないと、つまらない踊りになりがちなので、表現力が求められるバリエーションでもあります。


(6) 第3幕:オーロラ姫のバリエーション


バリエーションに初挑戦する人や、初めてのコンクールなどに使われるバリエーションです。バリエーションの中では、最も定番というイメージがあり、有名です。


-終わりに


一つの作品の中でもたくさんのバリエーションがあり、もちろん難易度も変わります。いろんな作品を観劇し、好きなバリエーションを探すのもまた面白いかもしれません。
チャイコフスキー3大バレエの一つなので、是非全幕見てみてはいかがでしょうか。