1.バレエで最も必要なテクニックと言われるターンアウトとは?
クラシックバレエを踊る上で欠かせないテクニックがターンアウト(=アンドゥ・オール)です。バレエに馴染みのない方でもバレエと聞いてイメージできる典型的な姿勢ですね。
舞台に立つバレエダンサーはもちろん、バレエ教師もターンアウトを常に意識し踊っています。ターンアウトは、一見ただ足を横に開いた形に見えますが、ただ足を横に開くだけでは意味がありません。
解剖学では、関節の動きを「屈曲、伸展、内転、外転、内旋、外旋」などと呼びますが、ターンアウトは股関節を外旋する動き、足関節・膝関節を開く動きに、床を押す動き、開き具合をコントロールする閉じる内旋の動きなど様々な筋肉を意識して行います。
レッスンではこれらを修正しながらターンアウトを改善していきます。しかし人間の構造(股関節周りの構造)上、ターンアウトできる可動域には限界があります。
2.やってはいけないターンアウトと使う筋肉
ターンアウトはポーズ(静止)ではなく、ムーブメント(動き)です。動いたときに残っていないといけません。注意するのは、股関節や太ももをほとんど使わないで足からターンアウトすることです。
一見できているように見えますが、この状態だと動いたときにターンアウトが消えてしまいます。
足ではなく、 股関節と太ももを使うのがターンアウト上達へのポイントです。
【2-1 足からターンアウトするのは、怪我や故障のもと!】
大腿骨を開こう、回そうと意識すると、太ももの前、お尻ががちがちに固まって逆に動きづらくなります。大殿筋、大腿四頭筋、これらは外旋の動作をする大きな筋肉です。
しかし、この大きな筋肉から動かし始めてしまうと筋肉が肥大し返って動きを妨げてしまいます。また大殿筋を固めると同時に反応して内転筋も固まります。
このように、足からターンアウトすると、膝をケガしたり、重心の位置がズレたり、骨盤の角度のズレ、背骨の弯曲など身体のさまざまなところに悪影響が出ます。踊りにもスムーズに次の動きにつながりづらくなってしまいます。
【2-2 股関節が柔らかければターンアウトができる訳ではない?】
股関節が柔らかいと確かに開きやすいですが、ターンアウトをする筋肉をきちんと使っていなければ、開いていたとしても、ただ股関節を開いてるだけになってしまいます。
股関節周りを一生懸命に伸ばしすぎてストレッチをすると、他とのバランスがとれず股関節の靭帯にダメージを与えてしまいます。特に、大人になってからバレエを始めた方の場合は注意が必要です。足の付け根を痛める原因にもなります。
逆にそこまで股関節が開けなくても、きちんと身体が使えたターンアウトができると、胴体の両脇が中心から両サイドに広がる感覚が出て、頭から足先まで右半身と左半身が互いにバランスを取り合ってくれます。
ターンアウトに必要なのはバレエの動きに合わせて使える範囲で股関節を開くことです
【2-3 ターンアウトで使う骨盤周りの筋肉たち】
ターンアウトに重要なお尻の筋肉を深層外旋六筋と呼びます。
名前の通り股関節を外旋(上腕や大腿を、位置を変えずに、体の外側方向に向かって回転させる動きをいう。)させるのに大きく関わっているこの筋肉は臀部深層にある6つの小さな筋肉の総称であり、お尻の筋肉の大臀筋に覆われるように位置しています。
梨状筋・上双子筋・下双子筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋・大腿方形筋の6つの筋肉が含まれています。この筋肉を意識して行うのがポイントです。
3.ターンアウトができない原因
【3-1 年齢による体の変化】成長期のジュニアはまだ骨格が完成しておらず、いわば変化途中です。
身長が伸びる、体重が増える、ということで、重心の位置の変化や、必要な筋肉量、スピードなどが変わります。そういう時期では今まで通りに身体がついていかない、対応できないことも出てきます。
【3-2 難しい骨格の場合】
先述したように、人間の構造(股関節周りの構造)上、ターンアウトできる可動域には限界があります。中には、ターンアウトが難しい骨格の人もいます。
【3-3 筋力が足りない?】
深層外旋六筋を始め、コアマッスルや腹筋、足を上げるための筋肉は全て骨盤についています。
お尻やお腹の骨盤周りで大腿骨を正しく置いていないと、ターンアウトをする筋肉がしっかりと働けない場所にあることになります。
外旋六筋は骨盤を安定させる筋肉なので、骨盤がしっかりしていないとターンアウトの筋肉、ターンアウトをサポートしてくれる筋肉たちが働きません。外旋六筋は骨盤を安定させる筋肉なので、そのお仕事が忙しかったらダンサーを助けてくれたりしないのです。
4. ターンアウトをレベルアップさせる練習方法
【4-1. 家でできる練習法】自宅でも練習をして基礎力を上達させましょう。
日々の日常での人の動きは、前進と後ろに動く動作が殆どです。しかし、バレエは左右に動きます。
鏡と重量のある椅子を準備しましょう。
スタジオのバーレッスンのように、椅子の背を持ち鏡で姿を確認しましょう。足先を90°に開いて立ち、足先を揃えて、脚を正面に真っ直ぐ立ちます。次に、その立ち位置から膝と膝をくっ付けてみます。ぴったりとはつきませんが、膝同士が内を向いているはずです。ターンアウトも同様に考えてみて下さい。
次に、膝の裏同士をつける様に、膝を外に向けましょう。すると、両膝が違った方向を向いているはずです。ターンアウトは自然と脚を開く事が大切です。
必ず、鏡を見て立ち位置を確認して下さい。
5.ターンアウトに必要な立ち方の確認ポイント
正しいポジションで脚を開かなければ、美しいバレエダンサーの立ち方は身につきません。足先を90°に開いて、真っ直ぐ立ちましょう。お尻が出っ張ったり、反りすぎたりしてはいけません。
人間は後ろに首を反らして立つと、中々横転してしまうまでは傾けられません。お尻が出っ張ったり、腰が抜けていないか左右から確認して下さい。
左右の肩の剣先、腰、膝が共に一直線になる様に、姿勢を正す練習をしましょう。
【4-1. 股関節で開きやすくする練習法】
この練習方法は仰向けで行います。
まず仰向けでターンアウトします。どのくらい開けているか、足が開きにくい方はどっちか、確認します。開きにくい方からスタートします。
開きにくい足でカエル足をします。股関節や膝がきつかったらドゥミプリエでいいです。
仰向けなのでエアーになりますが、カエル足の状態から、床を押すように脚を伸ばします。そうすると、①の姿勢にもどるはずです。
これらの動きを3回繰り返します。ちゃんとできてれば、これだけでターンアウトするときに股関節が開きやすくなっているはずです。そして、反対の足も同じようにします。
これがきちんとできていると、お腹に力が入りやすく、股関節からターンアウトしやすい感じになっていいきます。仰向けでやるので、プリエで膝を痛めやすい人は特にオススメです。
【4-2. ターンアウトに必要な筋力を】
技術的にもターンアウトは出来た方が良いでしょうが、怪我を予防するという観点からも股関節の外旋が必要です。股関節が外旋しないことにより、腰痛や膝痛または足部のトラブルに発展することも多いです。トレーニングを始める前に筋膜リリースなどで股関節のコンディションを整える必要があります。
テニスボールやトリガーポイントなどを使うと筋膜リリースが自分で出来ます。
1. トリガーポイントを太ももの外側に置く
2. 太ももの股関節の付け根から膝まで転がす
3. 一番痛いところで10秒ほどキープ
一番痛みや違和感を感じるところでキープしましょう。
10秒ほど止めて置くと痛みが和らいできます。
外旋筋肉の鍛え方
チューブをバーなどに引っ掛けて行います
1. ゴムチューブをバーなどに引っ掛ける
2. うつ伏せに寝る
3. 足首の周りにチューブを引っ掛ける
4. 膝を90°にしてターンアウトする
うつ伏せに寝ることで股関節がリラックスした状態でトレーニングを行うことが出来ます。チューブのテンション(強弱)は、ご自身にあった強さが良いです。
【4-3.ターンアウト向上させるためオススメのストレッチ】
ターンアウトさせる筋肉のストレッチ
主に外旋6筋と呼ばれる筋肉がターンアウトをさせるわけですが、この筋肉を単独でストレッチするのは、難しいです。しかし、ゴムチューブを活用すると外旋6筋のみを単独でストレッチすることが出来ます。
外旋6筋の単独ストレッチ
チューブを使ってターンアウトの方向に引っ張ってもらいます
1. 先ほどのトレーニングと同じようにチューブを足首にかける
2. ターンアウトの方向に引っ張ってもらう
3. テンションは強めにする
主観ではありますが、チューブを強めに引っ張った方がストレッチ効果があります。一度チューブをかけたら体を離していくとやりやすいです。
しっかりと正しいターンアウトを習うならバレエスクールで!
◆新宿校 Dst(月)14:20〜15:35(75分)バレエ【超入門】林真衣
◆新宿校 Est(水)14:20〜15:50バレエ【超入門】白椛祐子
◆新宿校 Est(木)12:40〜14:10バレエ【超入門】小川彩子
◆新宿校 Est(木)20:40〜22:10バレエ【超入門】谷川実奈美
◆都立大校 2Bst(水)20:45〜22:15バレエ【超入門】宮村さき
◆池袋校 Cst(金)11:00〜12:30バレエ【超入門】中村春奈
◆秋葉原校 6st(日)17:20〜18:50バレエ【超入門】川村智由美