-はじめに
みなさんは「ペトルーシュカ」と聞くと何を思い浮かべますか?「のだめカンタービレ」でのだめが弾いていた、ピアノ曲?
それとも、漫画「GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガー・ガール)」の登場人物?
バレエ作品の「ペトルーシュカ」は人形が魔術師により生命を吹き込まれ、恋をし、嫉妬し、ただの人形に戻されてしまうという、理不尽な物語です。
今回はこの「ペトルーシュカ」について解説していきます!
■ ペトルーシュカの登場人物
・ペトルーシュカ・・・バレリーナに恋をしている、道化人形・バレリーナ・・・ムーア人が好きなバレリーナ人形
・ムーア人・・・バレリーナのことが気になっているムーア人の人形
■ ペトルーシュカのあらすじ
第1場
謝肉祭に賑わう1830年代のサンクト・ペテルブルクの広場では、見世物小屋や大道芸人も出ていて大人も子供も楽しんでいます。そんな中魔術師が現れ、観衆に魔法をかけます。突然3つに仕切られた小部屋が現れ、そこには道化人形のペトルーシュカ、バレリーナ、ムーア人の人形が立っていました。魔術師が生命を吹き込むと3体の人形は踊りだします。
第2場
場面はペトルーシュカの部屋に変わり、魔術師に蹴飛ばされたペトルーシュカは寒々しい暗い部屋でバレリーナに思いを寄せています。ペトルーシュカは人形ですが、人間的な感情があり、バレリーナに恋心を抱いています。バレリーナが部屋に入ってきて、ペトルーシュカは喜びますが、バレリーナはペトルーシュカの気持ちを受け入れられず、去っていきます。
第3場
ムーア人の部屋はペトルーシュカと違い豪華で明るく、ムーア人がソファに寝そべっていると、バレリーナがやって来て、ムーア人と一緒に踊り、意気投合します。そこへ嫉妬に狂ったペトルーシュカが部屋に乱入し、ムーア人に体当たりしますが、小柄で弱いことを思い知るだけでした。
ムーア人はペトルーシュカを打ち負かしただけでは満足いかず、追いかけまわし、ペトルーシュカは部屋から逃げ出してしまいます。
第4場
場面は再び謝肉祭で賑わう市場に戻り、お祭り騒ぎも頂点に達している中、人形劇場から叫び声が上がります。ペトルーシュカが刃物を持ったムーア人に追い立てられて、舞台を走り抜けます。ペトルーシュカはムーア人に刺され死んでしまい、人々は駆け寄りますが、人形であると分かるとその場から立ち去ってしまいます。
魔術師がペトルーシュカの亡骸を引きずり、小屋に戻ろうとすると、魔術師の前にペトルーシュカの亡霊が現れ、わが身の不安を感じておびえた表情の魔術師は慌てて逃げ出します。
場内は静まり返り、謎を残したまま閉幕します。
■ ストラヴィンスキーの音楽
「ペトルーシュカ」はストラヴィンスキーが1911年にバレエ・リュスの為に作曲し、「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」はストラヴィンスキーの初期の三大バレエとして有名です。ストラヴィンスキーはバレエ曲「ペトルーシュカ」を基に編曲し、《ペトルーシュカからの3楽章》というピアノ独奏曲も完成させました。この曲が非常に癖のあるテクニックを多用し、極めて演奏困難なことで知られている為、ピアノコンクールでもしばし取り上げられます。
「のだめカンタービレ」でのだめがマラドーナ・ピアノ・コンクール本選で演奏した曲がまさにこの曲なので、耳にしたことがあるかもしれません。
■ バレエ作品ペトルーシュカの見どころ
初演は1911年6月26日にパリ・シャトレ座で上演されました。曲は軽やかでにぎやかな印象ですが、ストーリーは人形たちの三角関係の上、殺されてしまう、なんとも悲しい物語です。
また人形は本当に人形だったのか、それとも人形に変えられた人間だったのか、見る人によって様々な解釈ができるのが魅力的と言えます。
本当に人形のように手や足を動かしながら踊るダンサー達のテクニック・表現力にも注目してみてほしいです。