-はじめに
ワルプルギスの夜皆さんもどこかで一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
もともとは、古代ケルトにはバルティナあるいはケートハブンと呼ばれる春の祭りが5月1日にあり、この祭りの前夜がワルプルギスの夜などと呼ばれ魔女たちがサバトを開き思うがままにふるまうなどと伝えられていました。
バレエではどのような内容なのかをここでは紹介していきます。
■ バレエ「ワルプルギスの夜」とは
もともとはゲーテの「ファウスト」を題材にしたオペラの一部です。主人公のファウストは年老いた学者。自分の人生を賭けてきた学問だったが、無限の知識欲は満たされず、人生に失望していました。 そこへ悪魔メフィストフェレスが現れ、自分と契約すればファウストの希望通り充実した人生を送らせてやると持ちかけます。代わりに死後の魂は悪魔へ。 契約を交わしたファウストは、薬で若返り享楽にふける。 そうしてメフィストフェレスに連れてこられた饗宴の場面が、バレエ「ワルプルギスの夜」となります。
バレエの場面そのものに物語はなく、悪魔や妖精たちがどんちゃん騒ぎをしているという部分です。
■ オペラ「ファウスト」のあらすじ
<第1幕>
ファウストにマルグリートの幻影を見せるメフィストフェレス管弦楽による短い前奏がファウストの苦悩を表す。半音階的テクスチュアが博士の博識を、また牧歌的な地方色に彩られた音楽が自然の純朴な喜びを表現している。老学者ファウストが自分の書斎で、人生をかけた自分の学問が無駄であったと嘆いている。空しい人生に終わりを告げるため、服毒自殺を図るが、外から楽しそうな少女たちの牧歌的な合唱が聞こえてくるので、2度思いとどまる。ファウストが人生の快楽を呪っていると、そこに悪魔メフィストフェレスが現れ、二重唱「私はここにおります」(Me voici !)となり、ファウストの望みは欲しいものは、金か名誉かと聞く。ファウストはカバレッタ「私に快楽を」(A moi les plaisirs !)を歌って青春を望む。その代償としてメフィストフェレスはファウストに死後の魂を渡すように言う。ファウストがためらっていると、メフィストフェレスは美しい娘マルグリットの幻影を見せる。ここでの旋律は後の庭の場面で歌われる二重唱を先取りしている。幻影に魅せられたファウストは死後の魂を渡すという契約書にサインする。若返りの薬を飲んで一瞬で若者になる。2人は二重唱で「私に快楽を」を初回より半音高く繰り返して幕となる。
<第2幕>
市と祭りで賑わう街の広場で、マルグリットと学生たち、兵士たち、若い娘たち、既婚女性たちがにぎやかに合唱している。最初は個別に歌われるが、やがてマイアベーア風に対位法でまとめられ、華やかに締めくくられる。今日は、マルグリットの兄ヴァランタンが出征する日、彼はマルグリットにもらった小さなメダルを手に持っている。ヴァランタンは妹を一人残して出征する悩みアリア「出征を前に」(Avant de quitter ces lieux)を歌い、ジーベルとワーグナーらにマルグリートを頼む。ワーグナーが「ねずみの歌」(Un rat plus poltron que brave)を歌ったところで、メフィストフェレスが入ってきて、この世はすべて金が第一だと「金の子牛の歌」(Le veau d'or est toujours debout !)を歌う。その後、メフィストフェレスはワーグナーやジーベルの手相を見ながら不吉な事を言うので、悪魔であることがばれてしまい退散する。一方でファウストはマルグリットに恋心を抱いて愛を告白するが、マルグリットに慎み深く断られる。悲劇のヒロインの登場はのどかなディヴェルティメントを背景とした短く控え目なものだが、それだけに一層強い印象を残す。<第3幕>
村の若者ジーベルは恋するマルグリットのところに現れ「花の歌」(Faites-lui mes aveux)歌ってマルグリートに花を贈ろうとするが、メフィストフェレスの計略により、花はすぐに枯れてしまう。それでも何とか花輪を作り、それをマルグリットの家の玄関に置き、立ち去る。そこにファウストとメフィストフェレスが登場する。ファウストは彼女の幸福な暮らしぶりを見て感動しアリア「この清らかな住まい」(Salut ! demeure chaste et pure)を歌う。メフィストフェレスが用意した宝石入りの小箱を玄関に置いて2人は立ち去る。 マルグリットは祭の日に声をかけられたファウストのことを忘れられず、糸を紡ぎながらがバラード「トゥーレの王」(Il était un roi de Thulé)を歌いながら現れる。メフィストフェレスは扉の外にそっと宝石箱を置く。マルグリットは玄関に置かれた宝石を見つけ驚き、身に着けながらアリア「宝石の歌」(Air des bijoux)を憧れと伴に歌う。マルグリットの隣人のマルトが現れ、宝石について話しているときにファウストとメフィストフェレスが登場して四重唱「少しの間でも私の腕を取って」(Prenez mon bras un moment)となる。ファウストはマルグリットを、メフィストフェレスはマルトをそれぞれ口説く。マルグリットは頑なに愛の告白を拒むが、最終的にファウストの愛を受け入れる。<第4幕>
ファウストはマルグリットの元から去り、マルグリットは糸をつむぎながら来ぬ人を待っている。彼女はファウストにもてあそばれ彼の子供を身ごもっていたが、それでもなおファウストを忘れられず、彼は戻ってこない(Il ne revient pas)と「紡ぎ車の歌」を歌う。マルグリットが教会で祈るっていると、ジーベルがやってきてファウストへの復讐をはかる。しかし、マルグリットはこれを拒む。悪魔たちの合唱がマルグリットを包む。広場では兵士たちが「我らの父祖の不滅の栄誉」(Gloire immortelle)を合唱する。ヴァランタンが軍から帰ってきて、妹のマルグリットが騙され父無し児を生んだことを聞き、妹の変わり果てた姿を見て怒る。ファウストとメフィストフェレスが登場。マルグリットの家の前でファウストは後悔に苦悩するが、メフィストフェレスはセレナード「眠った振りをせずに」(Vous qui faites l'endormie)を歌い、不気味に笑う。ヴァランタンはファウストに決闘を挑む。しかし悪魔の力を借りたファウストに負け、死にかけたヴァランタンは、マルグリットに「呪われろ!」と激しい言葉を残し事切れる。<第5幕>
ハルツの山中。ワルプルギスの夜。「鬼火の合唱」にのって、ファウストはメフィストフェレスに連れてこられ、ワルプルギスの酒池肉林の騒ぎの中にいる。次々に美女が現れ、踊る。ここでバレエの場面となる(省略されることもある)。しかし、ファウストはマルグリットを忘れられず、マルグリットの幻影を見る。ファウストがマルグリットのところへ戻ると、マルグリートは生まれた子供を殺した罪で牢獄の中にいた。再会したマルグリットとファウストは喜び、愛の二重唱「そう、私だ!愛している!」(Oui, c'est moi, je t'aime !)を歌う。しかし、マルグリットは気が狂っていた。ファウストとメフィストフェレスは牢から逃れさせようするが、マルグリットはついて行こうとしない。そこへメフィストフェレスが現れ、フィナーレの三重唱を展開となる。そのとき牢獄の壁が開いてマルグリットの魂が昇天してゆく。メフィストフェレスは大天使ミカエルの剣によって倒される。マルグリットが神に祈ると、天使たちの合唱「救われた!キリストはよみがえられた!」(Sauvée ! Christ est ressuscité !)が聞こえ、マルグリットは神の元に救済されていく。■ 「ワルプルギスの夜」ヴァリエーションの難易度は?
最近よくコンクールでも踊る人が増えてきたのがワルプルギスの夜のヴァリエーションです。軽快で可愛らしい音楽と独特な振り付けが特徴の踊りです。細かいステップとポアントワークが難しいです。すごく難しい技術は要求されませんが、これらをミスなく踊ることができれば有名コンクールでも優勝が見えてくる中級者向けのヴァリエーションです。
■ 「ワルプルギスの夜」の衣装は?
ワインレッドのラメ感のあるジョーゼットで大人っぽさを出し、クラシカルな色の糸で作った刺繍の花のパーツで可愛らしさを表現したものが【ワルプルギスの夜】の衣装です。-終わりに
最近ではアニメや漫画などでもこの言葉をよく聞きます。本来の意味と照らし合わせながら見るとより楽しさ面白さがでてくるのではないでしょうか。
是非皆さんも一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。